2008年5月28日水曜日

チベット亡命医師の手記〜文芸春秋六月号から

産経新聞ワシントン駐在編集特別委員・論説委員の古森義久氏のブログで先に紹介されてしまったが、発売中の文藝春秋六月号に載った「私は見た 中国の『洗脳・密告・公開処刑」という手記に感銘を受けた。副題が「チベット亡命医師の手記」とある。
筆者は埼玉医大から近い西武秩父線高麗駅前の武藏台病院副院長・西蔵ツワン氏である。
チベットの子供に施される「中国化教育」の露骨さにも嫌悪感を感じるし、それに抗してヒマラヤを越えてインドへ子供を連れて脱出をはかるツワン氏の父親の勇気にも感動する。
ツワン氏がインドの英国式パブリックスクールにすすむときも日本へ留学するときも、喜んできっぱりと送り出すこの父親の姿は、私を含めた今の日本の父親にないものであろう。
何より驚いたのは13歳で日本にやってきたツワン氏の教育をサポートするスポンサーに手をあげたのが、ほかでもない埼玉医大の丸木清美先生だったということだ。その縁で埼玉医大を卒業したツワン氏は医師になり、日本国籍を取得して現在に至る。
埼玉医大の食堂には中国との交流史を物語る記念品や写真が飾られていたし、現在も(チベット同様中国に「併合」されたかたちの)ウイグル人留学生を受け入れているのも知っていたが、チベットとも埼玉医大がこんな関わりを持っていたとは全く知らなかった。
現在の中国のチベットに対する暴虐ぶりを見るにつけても、チベット人少年たち(5人いたらしい)を後援するという立派な業績について丸木先生を本当に尊敬するし、埼玉医大の一員として誇りにも思う。

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