2009年6月3日水曜日

STCIシンポジウム

だいぶ時間がたってしまったが、シンポジウム出演の報告を。シンポジウムという名称にふさわしい(?)少々固い雰囲気だったので、なんとか場の雰囲気をほぐそうとして盛り上げたつもり。
まず最初に10分時間をいただいて、主に「女子長距離選手を無月経にしておいてはいけないよ」というイントロダクションをお話しした。箇条書きにするとこんな内容。
● ジュニア日本代表女子中長距離選手の多くが無月経。しかしシニア日本代表になると月経のある選手の方が多数派。
● 体脂肪が15%だと半分、10%切るとほとんどの選手が無月経となってしまう。
● 月経がない、すなわち排卵がないと、徐々に低エストロゲン状態となってしまう。
● 骨塩量は30才前後がピーク。血中エストラジオール値が低いほど骨塩量が低い。
● 月経停止期間が長い人ほど、また月経停止年齢が低いほど骨塩量が低い傾向にある。
● 摂食障害、無月経、骨粗鬆症のトライアングル(悪循環)に陥ってしまうと相当深刻。
● 10代からの強度の高すぎるトレーニングを避けるべし。15才までに初経を迎えること、高校生の間には月経が止まらないようにさせることが必要。
● 20代後半から30代で競技活動のピークを迎えるような長期的視点をもつことが必要。
● 出産後の競技継続を奨励したい。

これについて、後で高校の指導者に対してどのように啓蒙活動をすればいいか、という質問が出たので「啓蒙するだけでは限界がある」という前提で、こんな提言をしてみた。
● 全国高校女子駅伝がテレビで放映されるようになり、どうしても高校時代の結果を求める指導者が多くなる。高校では一流でなくても後に大きく成長した赤羽選手の高校の先生(コーチ)などがもっと評価されなくてはならない。

出産を終えた赤羽選手、妊娠中の大島選手が壇上にいるだけに、妊娠中のトレーニングあるいは出産後の回復期のトレーニングの話が主体になった。産婦人科医としてのコメントは、
● 妊娠中のスポーツに対しては、どうしても産婦人科医は制限をかける立場にある。「これだけトレーニングをしても問題なかったよ」という実例が示されてはじめて我々の頭の中が変わるのであって、現時点ではなかなか「好きなようにどうぞ」とは言いにくい。
● 産後のトレーニング復帰のガイドラインによれば、持久力トレーニング、筋力トレーニングなどは産後すぐから開始できるが、片足立ちでバランスをとったり対人動作を行ったりするのは、骨盤が安定する数ヶ月後からが望ましい、となっている。

女性アスリートの活躍する環境整備というのがシンポジウムの題目だったわけだが、ゆくゆくは多くの強い選手が自立して30代でも活躍するようになればいいし、たとえばJOC強化指定女子選手の半数以上がママになればJISS(国立スポーツ科学センター)に保育施設ができたりするのでは?とコメントさせていただいた。

世界選手権マラソン代表に決定したばかりの赤羽選手の出演がこのシンポジウムの目玉。赤羽選手本人の努力もさることながら、献身的に(といっていいでしょう?)食事、子守り、練習環境整備に専念する周平さんには敬服した。この方、根っからのマネージャー向きでどの仕事も手抜きなし。真剣に、しかもオリジナルで、楽しそうにこなしている。なお、城西出身の赤羽夫妻、坂戸〜毛呂山近辺で青春をすごしたわけで親近感抜群である。

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