2010年3月24日水曜日

ロンドンへの機中で映画を見まくった

海外遠征の機内では、普段忙しくてなかなか見られない映画をまとめて見るのを楽しみにしている。今回のロンドン行きの機内で見たのは、順に「ゼロの焦点」「マイレージ、マイライフ」「風が強く吹いている」「ライフ・イズ・ビューティフル」の4つ。
「ゼロの焦点」はつい先月まで若葉でも上映しており、波しぶきの上がる北陸の断崖絶壁ロケの成果をぜひ見に行きたかったので、まず最初に。昭和20〜30年代の状況が「セット臭く」なく、つまり違和感なく描かれていて自然に入り込めた。やはりこの作品の舞台は北陸、金沢でないとね。
「マイレージ、マイライフ」は評判が高かったのは知っていたが、単にエキセントリックな中年サラリーマンの物語かと思っていたら、ちゃんと脇役の女性達が絡み出して展開がどんどんヒューマンなものになっていった。結婚式当日にして結婚をためらっている妹の婚約者に対して、主人公が自分は独身のくせに説得をしたシーンになぜか感動した。「副操縦士」というセリフ、空を飛んでばかりの男ならではだが、急に思いついたにしては見事。
「風が強く吹いている」はもちろん原作の出来がすばらしいので、映画は苦しいのではと思っていたし実際評判もかならずしもよくなかったが、やっぱりその通りだった。もともとが少々荒唐無稽なストーリーなので、やはり実写はきびしい。5000m記録会で、あんなに800か1500m走みたいに同じようなタイムで集団でゴールになだれこんでくるところとか、微妙に大学名を実在と替えてみているところとか(でも「城西大」は出てこなかったか?)、ユニフォームが実在大学とうり二つのところか、カケルの走りが到底20kmを越えるロードレースには見えない(ひいき目にみても5000mみたい)こととか、ハイジのラストがあんなに大ブレーキなのに10位を確保したところとか、やはり「玄人」が見てしまうとウソっぽいとこだらけ。がんがん早送りしながら見た。ただ、カケル役の俳優のランニングフォームとスピードが素晴らしいことと、マネージャー役のお嬢さんがかわいいいことにだけは感心。
最後の「ライフ・イズ・ビューティフル」が儲けものだった。1999年のイタリア映画だが、正直期待しないで見始めたし、シラノ・ド・ベルジュラックかドンキホーテかのパロディーかと思わせる前半のコメディー仕立てのところでは、もう見るのをやめようかとも思ったのだが・・・・後半、一気にシリアス度を増していく展開には完全に引き込まれてしまった。そうか、こんなストーリーだったんだ!ラスト近くの銃声にも、その後現れた戦車にも茫然。先日見た「カティンの森」に通じるテーマなのに、描き方は正反対。でも人の心を揺さぶる度合いはこちらの方が強いかも。そういえば日垣 隆さん推薦の「泣ける映画」のリストに入っていたことを見終わって思い出した。さすが。題名がいけないのかもしれない。
なお、前半後半をまたいで主要な役割を果たす劇中歌、オッフェンバック「ホフマン物語」から「舟歌」。さっそくiTunes storeで購入。頭の中で繰り返し鳴っている。

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