2011年3月21日月曜日

アスリートが手術をうける場合のドーピングは?

ロンドン五輪の前年となり、例えば卵巣嚢腫や子宮筋腫の手術を(五輪の年を憂いなく迎えるために)今年受けておこうと考えるアスリートがいるであろう。
子宮内膜症による月経困難症や子宮筋腫による過多月経など、現に日常生活の質を落とすような症状がある場合に、その判断はかまわないと思う。
さて手術を受ける場合、手術で使用する薬剤で何かドーピングコントロール上の問題になる事項はあるだろうか。
通常の婦人科手術を考えると、術後の特別な場合(乏尿となったときやショックとなったとき)に利尿剤やステロイドの静脈注射が用いられるくらいが、常時禁止薬物が使用される事態だろう。もちろん"IN COMPETITION"の禁止薬物であるモルヒネ、ペンタゾシンなどの鎮痛剤
が麻酔時や術後鎮痛に用いられることは頻繁にあるわけだが、これらはあくまでも「競技会における」ドーピングコントロールにおいてのみ対象となるので、気にしなくてよいだろう。
これまで私自身はアスリートを紹介した手術先の病院にあえてドーピングコントロールへの配慮を求めたことはない。それでいいと思っている。
手術というのは「人体に損傷を与えて、患部を除去あるいは修復することにより、より大きな利益を得る」という、人体にとっては特別な事態である。時にリスクを承知で手術に踏み切らざるをえないときもある。アスリートもドーピングコントロールを気にしすぎて医師に制約を科すような訴えをする結果、むしろ医師が必要な薬物を思い切って投与できない雰囲気をつくることがないようにしたいものである。

0 件のコメント: