2011年12月28日水曜日

ノルエチステロン〜60年の歴史

ルナベル®やオーソM®に含まれるプロゲスチンであるノルエチステロンは、世界初のプロゲスチン(プロゲステロン合成製剤)である。最初に1951年に開発されてから60年が経過しているから、実に長い歴史をもつ薬剤だ。
開発された順に、第1世代(ノルエチステロン)、第2世代(レボノルゲストレル)、第3世代(デソゲストレル)のプロゲスチン、そのホルモン活性を比較してみる。
主作用であるプロゲスチン活性はノルエチステロンは、第2・3世代のものに比べて見劣りする。月経困難症や子宮内膜症に対する治療薬としてはプロゲスチン活性の高いものが有効であるとされているため、その点では不利である。
その反面、にきび・男性化症状などの副作用の要因となるアンドロゲン活性も低く、プロゲスチン活性とアンドロゲン活性の比率でいうと、第2世代と第3世代の中間に属する。
また、ノルエチステロンは代謝産物に一部がエストロゲンに転換されるという特徴があり、骨量低下が危惧される若年アスリートなどにとっては好ましい薬剤とも考えられる。骨密度が同年代女性比で70%程度にまで低下した長距離選手に対するホルモン療法としては、今後選択肢に入れていきたいと思う。
ノルエチステロンは半世紀以上の使用実績があるので、今後新たな副作用が出現する可能性は限りなく低いという利点もある。
以上まとめると、ノルエチステロン(またはこれを用いたOCであるルナベル®)は、きわだった特長も欠点もないが、長年用いられた安全性と(月経困難症に対する)有効性のデータが存在する点が強みといえるだろう。
(参考:「ノルエチステロン〜半世紀以上使われ続ける、その理由」NETシリーズvol.3 (株)メディカルレビュー社)

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