2016年4月24日日曜日

IOCがトランスジェンダー選手の出場基準を緩和

IOCはリオデジャネイロ五輪を前に、トランスジェンダー選手の出場基準を緩和する方向の新たな指針を出した。指針では女性から男性になった選手(FTM)は五輪出場の規制がなくなる。男性から女性になった選手(MTF)は男性ホルモンのテストステロン値が一定レベルを下回る条件などを満たせば参加が可能になる。性別適合手術を必須要件からはずしたことが特徴であり、たとえばMTFで精巣が残存していても、エストロゲン補充療法によりテストステロンがある期間抑制されていれば女性競技出場可能ということになる。
一方、この指針はWADAコードを覆すものではない、とされており、テストステロン補充療法を受けているFTMがドーピング規定違反に問われないのかどうかが明らかでない。情報を集めたいと思う。
原文はこちら。私の翻訳(一部意訳含む)は以下の通り。



性別適合(sex reassignment: SR)とアンドロゲン過剰(hyperandrogenism: HA)についてのIOCコンセンサスミーティング(2015年11月)

1)トランスジェンダーのガイドライン

A スポーツにおけるSRに関する2003年のストックホルムコンセンサス以降、ジェンダー・アイデンティティの社会における自律の重要性について、徐々に認識が高まってきた。
B しかしながら、ジェンダー・アイデンティティが法律で全く規定されていない司法権も存在する。
C 今のところ、トランスのアスリートがスポーツ競技会に参加する機会からしめ出されることのないよう、可能な限り保証することが必要である。
D 優先すべきスポーツの目的は、フェアな競争の保証であり、また今後もそうである。
E 競技会に参加する前提条件としての手術的解剖学的変更を必須としていることは、フェアな競争を確保するうえで必要ではなく、進化している法制と人の権利に関する観念に合致していない。
F このガイドラインは、WADAコードとWADA国際基準に従う必要性をいかなる手段によっても覆そうとするものではない。
G このガイドラインは絶えず更新されるべき文書であり、あらゆる科学的医学的進歩によりレビューされるべきものである。
こうした精神に基づき、男女の競技に出場する適確性を決定するうえで、種々のスポーツ組織により以下のガイドラインが実行に移されることにIOCのコンセンサスミーティングは同意した。
1.女性から男性へ転換する者は、男性のカテゴリーに制限無しに出場できる。
2.男性から女性へ転換する者は、以下の条件のもとに女性のカテゴリーに出場できる。
2.1.当該アスリートが自分のジェンダー・アイデンティティは女性であると言明していること。この言明は、このスポーツの目的に関する限り、最低4年間は変更することができない。
2.2.当該アスリートは、初回の競技出場前に少なくとも12ヶ月間、自分の血清総テストステロンレベルが10nmol/L未満であったことを示さねばならない。(12ヶ月が女性競技における有利を最小化するのに十分な長さかどうか議論があることを考慮して、ケースバイケースで秘密裏の評価に基づき、もっと長い期間を要求されることもありうる)
2.3.当該アスリートの血清総テストステロンレベルが、女性カテゴリーで競技するうえでの適確性を証明すべき期間を通して、10nmol/L未満でなければならない。
2.4.これらの条件に対するコンプライアンス(遵守)は検査によりモニターされる。遵守されない場合は、女性競技への適確性は12ヶ月延期される。

2)女性アスリートのアンドロゲン過剰(HA)

2015年7月24日の「Chand対AFI及びIAAF」(CAS 2014/A/3759)暫定裁定に対して、IOCのコンセンサスミーティングは以下のように薦める。
・スポーツにおける女性の保護、およびフェアな競技の原則の推進のために、規則は存在すべきである。
・IAAFは他のIF、NOC、他のスポーツ組織のサポートを得て、IAAFのHAに関する規則が復活できるようCASに再度訴える用意がある。
・差別を避けるために、もし女性競技に参加資格がない場合には、当該アスリートは男性競技で競技する資格が与えられるべきである。



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